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A社賃金請求控訴事件

事件の分類
その他
事件名
A社賃金請求控訴事件
事件番号
名古屋高裁 − 昭和46年(ネ)第136号
当事者
控訴人 株式会社A
被控訴人 個人1名
業種
サービス業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1973年10月15日
判決決定区分
控訴棄却(控訴人敗訴)
事件の概要
1審原告は、1審被告である株式会社Aの女性従業員であり、A社労働組合員である。

1審原告は、1生理周期ごとに1日、生理休暇をとったところ、1審被告会社では有給生理休暇は1賃金計算期間につき1日であり、人の生理休暇取得はこれを越えるものである、として、3日分の賃金をカットした。

1審被告会社の就業規則には、女子が生理日の就業を著しく困難とするとき、1日の有給休暇を与える、とあり、A労働組合との新しい労働協約にも同じ趣旨の規定があった。

これに対し、1審原告は、就業規則及び労働協約中の、生理日の1日の有給休暇は1生理期間につき附与されるものだと主張して、控訴人会社に対しカットした賃金分の金5,900円及び遅延損害金の支払を求めて、訴えを提起した。
名古屋地裁は、請求を認容したため、会社側が原判決の取消し、女性従業員(1審原告)の請求棄却を求めて、控訴した。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
判決要旨
当裁判所もまた、被控訴人の本訴請求は認容すべきものと判断する。その理由は、次に付加訂正するほか原判決理由において説示するところと同じであるからここにこれを引用する。右労働協約の改訂は控訴会社が従来の慣行の確認、明文化という名目で、原審の審理終結まぎわに、訴訟の結果を有利に導こうとして、従業員の大部分を組合員としている新組合との十分な折衝のないまま通常の改訂時期をはずしてにわかにこれを敢行したものであり、また、就業規則の改訂についても従業員の一部の反対を押切ってそうそうになされたもので、現に、右労働協約、就業規則ともその再改訂の申入れが新旧両組合からなされていることが認められるのに徴しても右各改訂の事実だけから従前被告と新旧両組合間に被告主張のような慣行が存したと即断するわけにはいかない。
適用法規・条文
99:なし
収録文献(出典)
判例時報740号98頁、判例タイムズ301号194頁、労働判例191号69頁、労働経済判例速報831号3頁
その他特記事項
原審(No.115)参照。