判例データベース
S銀行地位保全仮処分申請事件
- 事件の分類
- 雇止め
- 事件名
- S銀行地位保全仮処分申請事件
- 事件番号
- 東京地裁 − 昭和45年(ヨ)第2221号
- 当事者
- 申請人 個人
被控訴人 株式会社S銀行 - 業種
- 金融・保険業
- 判決・決定
- 判決
- 判決決定年月日
- 1972年12月20日
- 判決決定区分
- 申請却下(申請人敗訴)
- 事件の概要
- 銀行が、一時的な人手不足を補う臨時的措置として、結婚して退職した行員や、家庭の主婦などの余暇利用として、いわゆるパートタイマー制度をとったが、行員だけの勤務体制の強化のため、残り一人になっていたパートタイマーが予告解雇された。本件は、右被解雇者がその地位を争い、右解雇を解雇権の乱用として、地位保全、賃金の仮払いを求めた仮処分申請事件である。
- 主文
- 本件仮処分申請を却下する。
訴訟費用は申請人の負担とする。 - 判決要旨
- 被申請人のいわゆるパートタイマーは、被申請人の業務上の必要にもとづいて通常1年以内の短期間に限り、その期間の定めがあると否とを問わず、臨時に雇用されるものであって、女子臨時嘱託の名称にも表象されるとおり、職場における身分として行員とは明確に区別される雇用形態に属するといわなければならない。もっとも、被申請人のパートタイマーでその勤務時間帯がフルタイムの行員と変わらないのは、本来の意味でいうパートタイマーの呼称にそぐわないが、そのために被申請人のパートタイマー制度の臨時的雇用の実体が変わるわけではない。認定事実に本件弁論の全趣旨をあわせると、申請人の本件パートタイマー契約が期間の定めのない臨時的雇用であることにつき黙示の合意があったと一応認めることができる。本件雇用契約は期間の定めのない臨時的雇用であるから、申請人がそのような臨時雇用者ではないとする前提に立っての申請人の解雇権乱用の主張は、これにつきさらに考察するまでもなく理由がないから、排斥すべきである。
- 適用法規・条文
- 99:なし
- 収録文献(出典)
- 判例時報708号91頁、
労働経済判例速報802号3頁、
労働判例67号43頁、
中嶋士元也557号117号 - その他特記事項
- 本件は控訴された(No.62)。
顛末情報
事件番号 | 判決決定区分 | 判決年月日 |
---|---|---|
東京地裁 − 昭和45年(ヨ)第2221号 | 申請却下(申請人敗訴) | 1972年12月20日 |
東京高裁 − 昭和47年(ネ)第3029号 | 控訴棄却(控訴人敗訴) | 1979年02月27日 |