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Y社地位保全等仮処分申請事件

事件の分類
解雇
事件名
Y社地位保全等仮処分申請事件
事件番号
山形地裁 − 米沢支部昭和50年(ヨ)第6号
当事者
債権者 個人2名
債務者 株式会社Y
業種
製造業
判決・決定
判決
判決決定年月日
1976年09月24日
判決決定区分
申請一部認容(債権者一部勝訴)
事件の概要
本件は、被申請人Y社が人員整理を行うに当たって、「既婚の女子および25歳以上の女子」全員(世帯主4名をその後除外)に希望退職募集を行い、その後、同社から指名解雇された女子職員2名が指名解雇の効力について争い、同社の従業員である地位保全等の仮処分を求めて申請したものである。
主文
1.債権者両名がいずれも債務者の従業員である地位を仮に定める。
2.債務者は、債権者Aに対し金7万9,997円を、同Bに対し金7万4,318円を、いずれも昭和50年4月以降本案判決確定に至るまで毎月10日限り仮に支払え。
3.債権者両名のその余の申請をいずれも却下する。
4.訴訟費用は債務者の負担とする。
判決要旨
本件においては、余剰人員が女子従業員のみでなく、男子従業員にも発生したものと推認されるほか、さらに、債務者は、一般的に既婚の女子は退職しても夫の収入があるから、比較的生活に困窮しないと主張するが、これは、例え女子世帯主を例外として考えていたとしても、まさに女子に対する差別的見方にほかならず、女子のみを希望退職募集の対象とすることの合理的な根拠になりえない。
従って、女子従業員にのみでなく男性従業員にも余剰人員が発生しているのにもかかわらず、合理的な理由がないのに、女子従業員のみを対象とした募集基準は、女子に対する差別待遇にほかならず、憲法14条、労働基準法3条、4条の精神に違反する違法なものである。債権者両名に対する指名解雇については、既婚の女子および25歳以上の女子という違法な募集基準に基づいて行われた希望退職募集と同一の違法な整理基準に基づいて行われたか、あるいは、少なくとも右違法な募集基準と密度に関連した違法な理由に基づいて行われた解雇であるということができ、いずれにしても労働基準法3条、4条によって認められる労働法の公序に違反し無効である。
適用法規・条文
02:民法90条
収録文献(出典)
なし。
その他特記事項
本件は確定した。