女性労働協会とは

協会の沿革

創立70周年

女性労働協会(旧名 婦人少年協会)は、
「婦人の地位向上及び青少年の福祉の増進を図ることを目的とする」(当時の設立趣意書)として、
昭和27年9月に発足いたしましたので、令和4年度で70周年となります。
初代会長は神近市子、理事に市川房江ほか、二代目会長は平林たい子、三代目会長は藤田たき。
歴代の会長、理事に女性の社会進出に先駆的な役割を果たした方々を迎え各種事業を実施して参りました。

婦人と年少者

(神近市子初代会長の発刊の言葉)

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『婦人と年少者』と女性労働協会

『婦人と年少者』は、労働省婦人少年局(現厚生労働省雇用環境・均等局)の広報誌として昭和28年に創刊された機関誌です。協会の歴史はこの「婦人と年少者」という広報誌の発刊からはじまりました。

70周年に寄せて

女性労働協会が発足して丸七十年。私は2011年から2020年までの十年間、会長として当協会に関わりましたが、男性の会長職は私が初めてでした。

その依頼を厚生労働省から受けた当時は、新聞社を退職し、女子大学で教鞭を取っていました。新聞記者時代から女性労働を専門にし、また大学では学生たちに女性が働くことに関する講義をしていましたので、会長就任に抵抗はありませんでした。

それでも内心、「男性が会長でもいい?」という戸惑いめいたものがあったのも確かですが、杞憂でした。男性職員は私以外、一人しかいませんでしたが、職場は性別を云々するほど暇でも狭量でもありませんでした。

初代会長だった神近市子さんらが目指した「合理的な労働の条件」(「『婦人と年少者』発刊のことば」、1953年)を整え、働く女性の地位向上、女性労働者の福祉の増進等を図ることを目的に、当協会は業務を推進してきました。

具体的には女性の就業支援、子育て支援、母性の健康管理推進支援等、働く女性が直面する課題への支援を事業内容とし、結果的にそれらは国の施策の柱である女性活躍推進にもつながっているわけです。その意味で当協会の役割は、重さが増していると言っても過言ではありません。

神近さんは、社会の「不合理と矛盾」は「よわい婦人と子供とにおしつけられて来た」とも指摘しています。それは七十年も前の話だろうなどと、切って捨てるわけにはいかない現実を垣間見ることもあります。先人の指摘も心に留め、七十周年を契機に改めて女性の社会進出を、男性の家事・育児参画等も含めて再考したいと思います。

女性労働協会が、そうした問題を考える上での先達でもあってほしいと願ってやみません。

鹿嶋

一般財団法人女性労働協会
前会長 鹿嶋 敬

1945年生まれ。千葉大学卒。
日本経済新聞編集委員兼論説委員、編集局生活家庭部長、編集局次長兼文化部長等を経て、2005年から15年まで実践女子大学人間社会学部教授。2011年から20年まで女性労働協会会長。政府・諮問機関の男女共同参画会議議員、第4次男女共同参画基本計画・計画策定専門調査会会長等も務めた。著書に『なぜ働き続けられない? 社会と自分の力学』(岩波新書)など。
2018年、春の叙勲で旭日中綬章を受章。

~働く女性とともに歩み続けて70年~

  • 昭和27年9月
    婦人の地位向上並びに勤労婦人及び青少年の福祉の増進を図ることを目的として、労働省婦人少年局唯一の外郭機関「婦人少年協会」として発足。主たる事業として広報誌『婦人と年少者』を発行し、婦人少年行政の浸透と啓発に寄与することを目指した。
    初代会長 神近市子 2代目会長 平林たい子
  • 昭和45年以降
    発足から18年。会員等の支援を得て「婦人と年少者」を発行していたが、幾多の運営における困難もあり会長に藤田たきが就任し再発足をした。
  • 昭和55年12月
    労働大臣の許可を得て財団法人となる。
  • 昭和56年以降
    「働く婦人の家館長及び指導員等ブロック別相談事例研修会」をはじめ労働省含め団体等から働く女性に関する調査研究等の事業を受託した。
  • 平成元年以降
    事業に即した各種損害保険制度のご案内をはじめる。
    また、均等法や女性労働者に関する刊行物を発行
  • 平成5年度
    地域における子育て支援活動を行う担い手の養成を目的とした「保育サービス講習事業」を受託。全国の自治体で「保育サービス講習会」を実施。(平成14年度終了)
    同時にテキストとしての「育児サポート4」の前身の「保育サポート」の作成の検討をはじめる
  • 平成6年度
    労働省にて子育てにおいて地域の相互援助活動であるファミリー・サポート・センター事業が発足。事業の発展を目指す「仕事と育児両立支援特別援助事業(ファミリー・サポート・センター運営支援事業)」を国より受託。
    (平成16年度終了)
  • 平成7年度
    厚生労働省より女性労働者が働きながら健やかに妊娠・出産をするための「母性健康管理推進支援事業」を受託。
  • 平成9年
    国の女性参政権付与50周年を記念して建設された、「女性と仕事の未来館」の開館準備事業及び開館後の運営業務を受託。
  • 平成11年4月
    事業内容の見直しとともに「女性労働協会」に名称を変更する。また「婦人と年少者」も「Women&Work」に変更しリニューアルをした。
  • 平成12年以降
    ファミリー・サポート・センターの増加とともに会員管理アプリケーションソフト「ファミサポくん」や事業の紹介ビデオやDVDを作成
  • 平成12年1月
    働く女性・働きたい女性を支援するための事業を総合的に行う「女性と仕事の未来館」が開館
  • 平成15年度
    「保育サービス講習事業」が受託終了となり、自主事業として保育サービス講習会認証制度を開始。
  • 平成17年度
    ファミリー・サポート・センター事業が交付金事業に改められたため、ファミリー・サポート・センター事業の設置主体である市区町村向けの運営支援事業を自主事業として実施することになった。
    「婦人と年少者」から「Women&Work」と名称を変更して約50年間発行してきたが廃刊。
  • 平成17年以降
    女性労働者のための自主セミナー、自治体、法人からの依頼を受けてのセミナーなどをはじめる。
  • 平成23年3月
    「女性と仕事の未来館」が事業仕分けによって閉館
  • 平成23年度
    全国の女性センター等の職員向けの研修や働く女性のための情報提供などを実施する「女性就業支援全国展開事業」(令和3年度終了)を受託。
  • 平成24年4月
    一般財団法人に移行。
  • 平成25年度
    これまでの事業経験を活かし、子育て支援に係る事業実施者が必要な損害保険等を提供できるよう損害保険代理店部門開設。
  • 平成25年以降
    ファミリー・サポート・センターの活動の安心安全のための「リスクメネジメント事業」、自治体からの要請で講師として出向く「自治体等支援事業」をはじめる。
    また自治体・企業・学校向けの講習を開催する「女性活躍推進サポートプロジェクト」や「女性労働協会認定講師育成事業」をはじめる。
  • 平成29年度
    女性活躍推進法に基づく中小企業が一般事業主行動計画をたて推進していくことを支援する「中小企業のための女性活躍推進事業」(令和1年度終了)を受託。
  • 令和3年度
    子ども・子育て支援推進調査研究事業(ファミリー・サポート・センター事業)
    子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)をそれぞれ受託